哲学を勉強していると、一番最初に紹介されることが多いのではないでしょうか。
タレスの「万物は水からできている」という言葉を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。
今回はそんなタレスについて、キセキが簡潔にまとめてみました。
タレスって誰? 簡単に
タレスは古代ギリシアの哲学者・数学者です。
自然哲学の祖、西洋で最古の自然学者、ギリシア七賢人の1人と位置付けられています。
ギリシア七賢人って?
古代ギリシアで特に賢明とされた7人の哲学者、政治家たちのことを指します。彼らは紀元前620年から紀元前550年頃に活躍し、後世の哲学と政治に大きな影響をもたらしました。タレス以外にソロン、キロン、ビアス、クレオブロス、ピッタゴス、ぺリアンドロス(ミュソンとすることもある)の6人が挙げられます。
タレス自身が書いた本は残っていないので、これから記す内容は他の哲学者の著書内で語られているものになります。
タレスの人生
タレスはどんな人生を歩んだのでしょうか。
最古の自然学者ですから、功績は伝わっていても具体的な年月や進路までは把握しきれていません。
できるだけ、順番通りに書いていきます。
誕生
タレス(Thales,タレースとも呼ばれる)は、紀元前624年に小アジアのイオニアのミレトスに生まれました。
フェニキア人の名門の生まれで、裕福な生活をしていたとされます。
ミレトスってどこ?
ミレトスはエーゲ海沿岸で、東と西の文化が交わる十字路のようなところです。現在のトルコ西部に位置します。東と西の文化の交流が行われ、東はバビロン、西はエジプトです。ですから、タレスはバビロニアの自然科学とエジプトの数学を学ぶ機会が多かったのだと考えられます。ちなみにタレスは「ミレトスのタレス」とも呼ばれています。
フェニキア人とは?
紀元前1200年ごろから地中海東部から全域にわたり生活していた民族です。優れた航海技術を持ち、北アフリカからイベリア半島までの広い地域で海上貿易をしていました。彼らが使っていたフェニキア文字は、後にギリシア文字やラテン文字の基礎となりました。貝からとれる貝紫という紫の染料が特産品で、高価で取引していたようです。このことからタレスは、代々海上貿易をしていた商人の家系に生まれたのかもしれないですね。
当時のギリシアはどんなものだったかのリストです。
- 人はポリスごとに分かれて生活
- ポリスごとの交流が盛ん
- アルファベットが発展
- 自然現象の説明を宗教に頼る
ポリスとは?
都市国家という意味で、独自の政治や文化が発展していました。今でいうところの国と思ってもらってもいいかもしれません。ポリスの中心の丘にはアクロポリスと呼ばれる神殿があり、そのふもとにはアゴラと呼ばれる公共広場がありました。アゴラで人々は集会をしたり裁判をしたりしていたようです。
宗教や神を持ち出して現象の説明をしていた時代に、タレスは自然科学に即した合理的な説明を取り入れたわけです。
主な出来事
タレスは若いころから政治に従事し、その後自然科学の研究に着手しました。
その後、隣のポリスであるエジプトとバビロンへ旅をして、数学と自然科学について学びました。
エジプトでは、ピラミッドの大きさを計るという偉業を成し遂げています。
バビロンでは、幾何学と天文学を学び、これがのちに日食を予言する知識になったのでしょう。
幾何学とは?
幾何学とは、図形や空間の性質に関する数学の一部門です。古代ギリシア語のジオメトリアに由来して、もともとは「土地を測る」という意味です。そう思うと確かにタレスも、ピラミッドの高さを求めてますし、「タレスの定理」も図形に関するものですね。
紀元前590年、タレスはミレトスにイオニア哲学学校を設立しました。
タレスは教師としても活躍したのです。
そしてタレスはミレトス学派の創始者でもあります。
ミレトス学派とは?
自然現象を神の力とするのではなく、合理的な説明をしようとした最初の試みをした人たちです。後の時代で哲学や自然科学、天文学が発展したのはタレスが始まりだったわけです。以前紹介したガレノスもミレトス学派であったと言われています。ガレノスって誰?という方はこちら。
タレスは紀元前585年5月28日の日食を予言したことでも有名です。
ここまでみて、タレスから学問がスタートしたと言っても過言ではないように思えてきますね。
タレスは数学・哲学の祖とも呼ばれているわけですが、宗教的考えから合理的考えに移行させたのですから、全学問の祖でもあるようにも思えますw
最後
タレスは紀元前546年に亡くなったとされています。78歳でした。
エリス地方で体育競技を観戦中に亡くなったそうです。
エリス地方ってどこ? 体育競技ってオリンピック?
現在のギリシャ南部のペロポネソス半島に位置します。ミレトスとはエーゲ海を挟んで対岸、400mほど離れているため、この体育競技を見るために出かけたのではないかと考えられます。
この体育競技はオリンピックではないかと言われていますが、古代オリンピック第58回は紀元前548年、第59回は紀元前544年に開催されています。つまりタレスの最後とオリンピックの開催期間とは異なります。
原因は熱さと乾き(熱中症)または老衰だとされています。
タレスの功績
タレスは多くの分野で功績を残しました。
見るとわかりますが、何でも屋のごとくいろいろな分野で活躍してます。
順番に見ていきましょう。
自然現象を合理的に説明する
タレスの1番の功績は自然現象を合理的に説明しようとしたことです。
今までのギリシアでは、自然現象は宗教的な説明で神の力によるものだとしていましたが、タレスは合理的で自然に即した説明をしようとした初の試みをした人です。
イオニア哲学学校を設立し、ミレトス学派を設立してさらにその考え方を広めていきました。
このことから、アリストテレス著書『形而上学』で「最古の自然学者」として、プラトンは「ギリシャ七賢人」としてタレスを位置づけています。
ピラミッドの高さの測定
棒もしくは自分の高さと影の比、ピラミッドの高さと影の比を使って求めたとされています。
棒の長さ:棒の影の長さ=ピラミッドの長さ:ピラミッドの影の長さ
例 10:20=?:260
10×260=20×?
2600/20=?
?=130 (現在、実際のギザのピラミッドの高さは138.5m)
日食の予言
タレスは紀元前585年5月28日の日食を予言したと、歴史家のヘロドトスが記しています。
なんでそんなことができたのかというと、バビロニア祭司の宗教目的のために集められた天文に関する記録から学んだのではないかと言われています。
この時、リデュア民族とメディア民族の抗争が5年間続いていましたが、この日食で昼が夜に変わったことにより和平を急いだと言われています。
タレスの定理(幾何学の五定理)
「半円に内接する三角形は直角三角形である」
これが有名な「タレスの定理」です。
数学の授業でタレスの名前は知らなくても、この定理は出てきたのではないかと思います。
他にも幾何学に関する5つの定理「幾何学の五定理」がありますので、一緒に紹介します。
- 円は中心を通る直線で二等分される
- 二等辺三角形の両底角の大きさは等しい
- 交差する直線の対頂角は等しい
- 三角形は底辺と両底角で定められる
- 半円に内接する三角形は直角三角形である
その他の発見・功績
タレスは他にも多くの発見と功績を残したのではないかと言われています。
- 船までの距離の測定
- ハリュス河の流れを変える
- 太陽の至点、昼夜平分点の派
これを見ると、タレスは何でも屋のように、数学以外の分野でも活躍したのがわかります。
今まで出てきただけでも、数学者・哲学者・教師・天文学者として活躍したと考えられます。
タレスの思想
ついに哲学者としてのタレスを紹介します。
タレスにより、自然現象が宗教的説明から論理的説明に移行した歴史的瞬間です!
時系列でも功績でも紹介しにくいので、ここで紹介することにします
自然現象は論理的に説明できる
この世の全ては超自然的な力の介入で成り立っている。
これがタレスが生まれた時代の思想です。
しかし、タレスは幾何学と天文学を学んでいく上で、この世はある法則に基づいて存在しているのではないかと考えました。
宇宙には秩序があり、論理(=ロゴス)があるとし、自然を観察し論理的説明をしようとしました。
神秘的な世界観を崩して世界の統一性、一貫性を追求したタレス…(いい)⇠かっこいい
「万物の根源は水である」
まずガレノスは、「宇宙を構成している基礎になる物質は何か」という問いを立てました。
宇宙、世界の根源(アルケー)については神の超自然的な力であると説明されてきました。
タレスは、宇宙の始まりに対して、自然に則した説明を試みた最初の人です。
このように、宇宙における全ての物質は1つの実体に還元可能であるとする考えを一元論と言います。
タレスは、以下全てに当てはまる物質を探しました。
- 万物がそれによって形作られると言えるもの
- 生命に不可欠なもの
- 運動、変化するもの
タレスは自然を観察し、「万物の根源は水である」と結論したのです。
確かに水は生きていく上で必要不可欠、流れて運動し、氷(固体)・水(液体)・水蒸気(気体)に変化します。
タレスは、陸地が海に囲まれていることを知っていたので、地球全体は下層にある水から生まれてその上に浮いているのだと考えました。
地震は水が揺れて起こるものだと考えたのです。
こうしてタレスは、この世の全てのものは、水の形が変わったものだと考えました。
そう考えると確かに「水」が宇宙の根源としてもおかしくないですよね。
地球は平らで円盤状
タレスは地球は平らで円盤状だと考えていました。
これは当時の一般的な知識に基づいているものです。(ギリシャ神話)
そして前述の通り、水に浮いていると考えていました。
さすがのタレスも地球が球体とは考えなかったようですね。
教え子たちの思想
タレスのもとで学んだミレトス学派の後継者たちはどんな思想を持っていたのでしょうか。
代表例を簡単に紹介します。
アナクシマンドロス (Anaximander)
根源
アナクシマンドロスは、万物の根源(アルケー)を「アペイロン(無限・無限定なもの)」と考えました。
タレスが「水」であると主張したのに対し、アナクシマンドロスは無限で抽象的な存在であると主張しました。
地球観
アナクシマンドロスは地球は円柱型で、陸はその平らな面にあり、海に水平線があるのは終わりがあるからだと考えました。
より詳しい話はこちら! がんばって書いてます…
アナクシメネス (Anaximenes)
根源
アナクシメネスは、万物の根源を「空気」としました。
口をすぼめると冷たい息、広げると温かい息になるという観察可能な証拠を使った記録上最初の思想家です。
地球観
口をすばめると空気が濃縮されて冷たくなることから、濃縮された空気は霧→雨→石となり、地球ができたのではないかと考えました。
より詳しい話はこちら! 全力執筆中です…
タレスの逸話
タレスには嘘か誠か多くの逸話が存在します。
多くの名言もここで紹介していきます。
タレスに関する情報が少ない分、ここでタレスがどんな人だったかイメージできると思います。
オリーブ圧搾機で大儲け
「哲学は金儲けの役に立たない」と言われたタレス。
タレスは天文学から次のオリーブの収穫が豊作であることを予想しました。
そこで、冬のうちからミレトス全体のオリーブ圧搾機を買い占めました。
オリーブ圧搾機とは?
オリーブの実を絞って果肉と果汁を分ける機械です。果汁はオリーブ・オイルになります。オリーブの実を潰して得られる果汁はとても少ないので、オリーブ・オイルはとても高価なものでした。
冬にオリーブ圧搾機を買う人なんて1人もいませんので、喜んで売ってくれたでしょうね。
そしてやって来たオリーブ収穫期、タレスの予想通り豊作となりました。
しかしミレトスのオリーブ圧搾機は全てタレスのものです。
タレスは買い占めたオリーブ圧搾機を貸し出して、莫大な利益を得ることが出来ました。
こうしてタレスは、哲学的思考でお金儲けできることを証明したわけです。
「タレスが使ったのは哲学じゃなくて天文学でしょ?」はい。その通りです。
タレスの素晴らしいところは、哲学的思考と科学的知識(天文学)を使ったというところです。
この時代、天候に恵まれたら神様のおかげであり、感謝しましょうという考えでした。
しかし、タレスは神様の力に頼るのではなく自ら考えて(哲学的思考)、天候を予想することで成果を得たのです。
「天候は神々へ訴えかける機会などではなく、豊穣をもたらす予兆だ」とタレスはかたっています。
これのエピソードはアリストテレス『政治学』で紹介されています。
現在でもこのような取引はデリバティブ取引(Derivative Trading)と呼ばれて利用されています。
デリバティブ取引とは?
将来予想されるリスクに備えて、予め手を打っておく取引のことです。今回のようにオリーブが豊作になることを予想してオリーブ圧搾機を買い占めたり、株価変動を予想して保険オプションを追加したりするようなものですね。
塩を運ぶロバ
ある行商人がロバに塩を積んで運んでいる途中、ロバが川で転んでしまいました。
次の日も、その次の日もロバは川で転び、積んでいた塩が流されてしまいます。
困った行商人はタレスに助言を求めました。
馬が転ぶのは、塩が流されて軽くなるからだと気が付いたタレスは、ロバに海綿を運ばせるよう行商人に助言しました。
海綿とは?
スポンジをイメージしてもらえば簡単です。海綿は海綿動物門(Porifera)に属する動物の総称です。最も原始的な多細胞生物で、主に海で生活しています。体にある入水口から水を取り入れて、出水口から水を排出する構造をしており、内部にある鞭毛付きの襟細胞で水の流れをつくって微生物を食べます。骨格は骨片と海綿質繊維(スポンジン)でできており、これがみなさんご存じスポンジになります。フェニキア人やエジプト人が最初に利用したとされ、兵士の膝盾のクッションとして利用されたそうです。現代でも化粧や体を洗う沐浴時に使いますよね。実は抗生物質や抗がん剤として医療の現場でも注目されているのだとか。
次の日、また川で転んだロバですが、積んでいた海綿が水を吸ってより重くなってしまいました。
これ以降、ロバは塩を積んでも転ぶことはなくなったそうです。
イソップ寓話の一つですが、ここの助言者にタレスを充てる場合があるようなので紹介しました。
何ともユニークな話ですねw ロバのように楽をしようとしていると痛い目を見るかもしれない、という教訓を得ました…
独身主義者(1)
タレスは、母から無理やり妻をめとられそうになった時、「まだその時ではない」と言いました。
盛りを過ぎたころになり、タレスの母は妻をめとるようにタレスに言いましたが、「もうその時ではない」と言いました。
これはラエルティウス著書『ギリシア哲学者列伝』に記されている話です。
どれだけ妻をめとる気がないのかわかるエピソードですねw
タレスが独身主義者であったことが本当かはわかりませんが、もう一つ面白い逸話があります。
独身主義者(2)
タレスのもとに、旅をしていたソロンが訪れました。
ソロンって誰?
ギリシア七賢人の1人とされる、アテナイ(現アテネ)の立法者・政治家・哲学者です。アテナイで政治改革をしたことで有名です。2人は異なるポリスで生活していますが、お互いの名声は知っていたのでしょう。この後の文章からも、かなり親しい関係だと読み取れます。
ソロンはタレスに「そろそろ妻を得て子どもをつくったらどうだ」と家族の意義を説きました。ソロンにはすでに妻子がいたためです。
タレスは何も言いませんでした。
そのあと、ソロンはある旅人と出会い、旅人は昨日ソロンの故郷(アテナイ)に行き今帰ってきたばかりだと言いました。
ソロン「旅先で何か面白いことはあったかい?」
旅人「面白いこともあったが、悲しいこともあった。若い少年の葬儀が行われていたんだ。その少年は、名声高く優秀な人の息子だったようで、みな悲しんでいた。」
ソロン「…その子の父の名は?」
旅人「たしか ソロン だと言っていました。」
ソロンは自分の留守の間に、息子が亡くなったことにひどく悲しんで泣き叫びました。
そこに笑いながらタレスが来て「今のは私の回し者ですべて作り話だw こうなりたくないから私は妻子を持たないのだ。」と言いました。
これはプルタルコス著書『英雄伝』のソロン伝に記されているエピソードです。
英雄伝ってどんなの?
ギリシャ・ローマの著名人物の伝記集で、彼らの人格や道徳を通して倫理や哲学を教える内容となっています。ソロン伝では彼の政治についても触れられています。
タレスの証拠を示して証明する論理的な思考がこんな形で使われるとは…w
タレスは自然科学に、ソロンは政治と社会に関心を寄せているので、いい対比になっていますね。
貧困をもって財の喪失に対し、友を作らぬことで友を失うのに対し、子供を持たぬことで子供の死に対する予防策とすることよりも、理性をもってあらゆる不幸に備えるべきである。
プルタルコス『英雄伝』ソロン伝
プルタルコスのコメントもその通りですねw
失いたくないから手に入れないことで予防するというのは、タレスにとって論理的な判断だったのでしょう。
天文観測に夢中になって…
ある夜、タレスは天文観測しながら歩いていました。
上を見ながら歩いていたため、溝に落っこちてしまいました。
それを見ていた女性は「学者というものは、遠い星のことはわかっても、自分の足元のことはわからないのか」と笑ったそうです。
プラトン著書『テアイテトス』に書いてあるエピソードです。
さっきまでの思慮深さとは裏腹に、うっかり屋さんなタレスの一面ですね。
名言 Q&A
ここでは、タレスの名言をQ&A形式でお伝えしていきます。
Q真実と嘘はどれだけ隔たっているの?
A目と耳の間ほど
みらるのひとり言
目と耳は全然離れてないじゃないか! とお考えの皆さん、たしかにその通りです。では、耳を見てみてください。すぐ近くにありますから。いじわるしてすみません、つまりはそういうことなのではないかと考えます。すぐ近くにあるのに見えないもの、隔ててないのに隔たれているものこそが「嘘」なのでしょう。
Q姦通(不倫)したのですが、教会で姦通していないと誓ってもいいでしょうか?
A偽誓は姦通よりは悪くない
キセキのひとり言
じゃあ嘘の誓いをしてもいいのか! というとらえ方もあると思います。しかし、質問者はすでに姦通という偽誓よりも悪いことをしています。偽誓は悪いことなのは明確であり、それよりも悪い姦通をした質問者に対して、それでも本当に罪を偽るのか?と言いたいのでしょう。偽誓をすることを促しているのではなく、偽誓するしない以前にあなたは悪いことをしましたよと、遠回しに伝えているのでしょう。こうやってこじつけるとタレスは質問者に対して、償ったほうがいいのではないかと促しているとも言えますね。
Qなぜ子供を作らないの?
A子供を愛しているから
キセキのひとり言
これは前述したエピソードと合わせると、子供を失いたくないから子供を作らないという主張なのでしょう。これも面白い回答ですね。子供を愛しているからこそ、失うのが怖い。だから作らないというのはもっともな意見ですが…
Q困難なこととは何でしょうか?
A自分自身を知ること
Q容易なこととは何でしょうか?
A他人に忠告すること
キセキのひとり言
自分自身について知ることは困難です。しかし、他人に忠告することは簡単です。他人に忠告することは簡単でも、自分の内面について自分で忠告することは難しいという皮肉の効いた教えですね。自分のことを客観視することには労力が必要です。人に忠告するように、自分のことも見直していきたいものです。
タレスって誰? まとめ
タレスは、宗教的な説明から論理的で自然に即した説明に転換させた、古代ギリシアの自然哲学者です。
今回は、数学者としても天文学者としても多くの活躍をしたタレスについてまとめてみました。
独身主義者であったタレスの主張に、意外な一面を見た人も多いのではないでしょうか。
論理的に考えることは、他人に忠告することより難しいですが、自分自身を知ることと耳を見ることよりは簡単です。
楽をしようとして神様を言い訳にしたり嘘をついたりすると、ロバのように痛い目にあってしまいます。
いくつもの分野で功績を残したタレスでさえ溝に引っ掛かりますし、異性に笑われます。
ですので、私たちが小さな失敗をしてもくじけずに「どうしたらうまくいくか」と論理的に考えて、水のように受け流しては決して止まらぬ強い流れをつくっていきましょう。
宇宙の根源が水であるならば、そこから生まれた私たちも水のように変幻自在に変化しながら、確実に前に進んでいけるはずですから――