こんにちはキセキです!今回は老子について解説していきます。
AI時代だからこそ中国古代思想を振り返って、そこから新たな気付きを得ましょう!
人間の発想力こそが、AIに勝る方法なのです。
老子って誰? 簡単に
老子(Laozi)は、中国の古代哲学者であり、道教の創始者とされています。
彼の思想は『道徳経』という著作にまとめられており、道(Tao)と呼ばれる宇宙の根本原理を中心に展開されています。
老子は、自然との調和や無為自然(何もしないことの重要性)を強調し、個人の内面的な成長と社会の調和を目指しました。
彼の哲学は、後の道教や儒教に大きな影響を与え、東アジアの思想において重要な位置を占めています。

人物
彼の本名は李耳(Li Er)とされています。
なんで老子って呼ばれたの?っというと、長い間生きた方として敬った言い方だったのではないかと言われています。
実は実在の人物であったことを証明できないのです。
ですから、伝説的な人物として扱われました。
人生
周王朝、春秋時代末期から戦国時代初期(紀元前6世紀頃)の守蔵室史(図書管理官)として仕え、知識層と接触しました。
晩年、世の乱れを嘆き函谷関を去る際、関守の尹喜に『道德經』を口述したとされます。
伝説的要素が強く、神格化されて「太上老君」として道教で崇拝されました。
この時代に活躍した諸子百家の1人ですね。
諸子百家とは?
周の支配が崩れた乱世の春秋戦国時代…そんな中、政治をどうしようどうしようと模索して、答えを導きだしていった人たちのことです。詳しくはこちらのブログで解説してます。
中国哲学とギリシア哲学の始まりの違いは?

人柄
- 謙虚さ:「自らを賢人と称さず」と記述され、権威主義を批判
「自見者不明、自是者不彰、自伐者無功、自矜者不長。」
老子『道德經』第24章
これは「自分の姿を見せびらかす者は明らかでなく、自分の正しさを誇る者は輝かない。自分の功績を誇る者には真の功績がなく、傲慢な者は長続きしない。」という意味です。
- 観察眼:自然現象(特に水流)から人間社会の理を読み取る姿勢
「上善若水。水善利萬物而不爭。」
老子『道德經』第8章
これは「最高の善は水のようなものである。水はあらゆるものに恵みを与えるが、争うことはない。」という意味です。
老子は水の柔軟性、適応性、そして力強さを人間の理想的な生き方のモデルとして提示しています。
- 反骨精神:儒教の礼儀規範を「道徳衰退の産物」と断じた
「上德不德、是以有德。下德不失德、是以無德。」
老子『道德經』第38章
これは「最高の徳は徳を意識せず、だからこそ徳がある。下位の徳は徳を失わないようにし、だからこそ徳がない。」という意味です。
老子はここで、儒教が重視する形式的な道徳や礼儀を批判し、それらを「道徳衰退の産物」と見なしています。
彼は、真の徳は意識せずに自然に行動することから生まれると主張しました。
- 超越性:「道」の不可視性を体現する「恍惚たる老翁」像
- 超越性:現世の俗事を超えた存在
- 不可視性:明確に捉えがたい神秘的な性質
- 智慧:年齢を重ねた者の深い洞察力
「恍惚たる老翁」とは、老子のことも彼の思想の基盤である「道」とも通じるところがあります。
『道德經』の第21章では、「道」について『道というものは、ぼんやりとして捉えがたいものだ』と説明しています。
このことから、人徳あふれたほんとに神秘的な人なんだということがわかります。

思想
概要
老子の思想の中心には「道」(Dao)という概念があります。
道は、宇宙の根本原理であり、すべての存在の源とされています。
老子は、道に従って生きることが最も重要であるとし、これを「無為」(Wu Wei)という形で表現しました。
無為とは、自然の流れに逆らわず、過剰な干渉を避ける生き方を指します。
つまり、自然なままでいよう、人為的な干渉はせず身を任せようということですね。

道の概念
「道」は宇宙の根源的な原理を指します。
「道可道、非常道。名可名、非常名。」
老子『道徳経』第1章
(言葉で表現できる道は、永遠の道ではない。名付けられる名は、永遠の名ではない)
この一節は、道が言葉で完全に表現することができない、普遍的で永遠の原理であることを示しています。
さらに、第25章では道の性質についてより詳しく述べられています:
「有物混成、先天地生。寂兮寥兮、獨立不改、周行而不殆、可以為天下母。」
老子『道徳経』第25章
(混沌として成った物があり、天地に先立って生まれた。静かで広大で、独立して変わらず、あまねく巡って危うくない。これを天下の母とすることができる)
この描写は、道が万物の根源であり、永遠不変で自己充足的な性質を持つことを示しています。
道というのは、とにかく壮大で、すべてを作ったものということです。
西洋哲学で言うところの「万物の根源とは何か」に近いですね。

無為自然
「無為自然」は老子思想のもう一つの中心的な概念です。
これは単に何もしないという意味ではなく、自然の流れに逆らわずに生きることを指します。
「道常無為而無不為。侯王若能守之、萬物將自化。」
老子『道徳経』第37章
(道は常に無為でありながら、なさざることはない。君主がこれを守れば、万物は自ずと変化する)
この一節は、無為の姿勢を保ちつつ、結果としてあらゆることが成し遂げられるという無為自然の本質を表現しています。
また、為政者の理想的な姿勢も示唆しています。

柔弱
老子は「柔弱」の力を重視しました。
「人之生也柔弱、其死也堅強。草木之生也柔脆、其死也枯槁。故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。」
老子『道徳経』第76章
(人は生まれたときは柔らかく弱いが、死ぬときは硬く強い。草木は生えるときは柔らかくもろいが、死ぬときは枯れて固い。だから、堅く強いものは死の仲間であり、柔らかく弱いものは生の仲間である)
この教えは、柔軟性と適応力の重要性を強調しています。
柔らかく柔軟なものこそ強いというのは面白いですね。
確かに、1つのことに執着して、頭と心に柔軟性がないと人生苦労するのは、なんとなく想像できますね。

虚静
「虚静」も老子思想の重要な要素です。
「致虛極、守靜篤。萬物並作、吾以觀復。」
老子『道徳経』第16章
(極限まで虚しくし、静寂を守り通す。万物が同時に活動する中で、私はその回帰を観察する)
この教えは、心を空にし、静かに観察することの重要性を説いています。
これは、「マインドフルネス瞑想」など今のメンタルケアにもつながる概念ですね。
心の中が散らかっていると何事もうまく運ばないものです。
最新研究
1. 経営学
研究背景
2023年、北京大学の李明(りめい)教授は、老子の「無為自然」の概念を企業経営に適用する実験を行いました。
具体的な結果
この研究では、従業員の自主性を重視した経営スタイルを導入した企業が、従業員の満足度を30%向上させ、業務効率が25%改善されたことを報告しています。
解説
具体的には、従業員が自らの判断で業務を進めることを促進することで、創造性が高まり、問題解決能力が向上したとされています。
つまり、経営者がでしゃばるのではなく、従業員が自然体で自主的に仕事を行えるようにしたんですね。
強制的な感覚があるよりモチベが上がりそうですよね。
【参考文献】
Approaches to ethics in the Laozi (Lao‐Tzu). Philosophy Compass. 2022-01-01.

2. 政治学 リーダーシップ論
研究背景
2022年、清華大学(せいかだいがく)の王小明(おうしょうめい)氏は、老子の「道」に基づくリーダーシップスタイルが、政治的決定においてどのように機能するかを調査しました。
具体的な結果
この研究では、老子の思想を取り入れたリーダーシップが、政策の受容度を40%向上させることができたと報告されています。
解説
具体的には、リーダーが透明性を持ち、部下の意見を尊重することで、信頼関係が構築され、政策の実施がスムーズに進んだとされています。
リーダーは常に透明性があり、自然体を見せることが安心と信頼への近道ですよね。
【参考文献】
老子之 “道” 的意义. Journal of Xinyang Normal University. 2015-01-01.

3.脳科学
研究背景
2021年に発表された研究では、無為の概念がストレス軽減に寄与することが示されました。
この研究は、アメリカのハーバード大学の心理学者が行ったもので、参加者に「無為」の状態を体験させ、その後のストレスレベルを測定しました。
具体的な結果
- 参加者のストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが、無為の状態を体験したグループで平均30%低下したことが確認されました。
- これは、心身のリラックスがもたらす効果を示しています。
解説
無為とは、ただ何もしないことではなく、自然の流れに身を任せることです。
ストレスを感じる現代社会において、無為の実践が心の健康に寄与する可能性があるのです。
【参考文献】
The wu-wei alternative: Effortless action and non-striving in the context of mindfulness practice and performance in sport. of Sport and Exercise Psychology. 2021-01-01.

4. メンタルヘルス
研究背景
2022年、香港中文大学の劉志明氏は、老子の「虚静」の概念を用いたメンタルヘルスプログラムを開発しました。
具体的な結果
このプログラムに参加した被験者は、ストレスレベルが平均で28%低下し、心理的健康が改善されたと報告されています。
解説
具体的には、瞑想や静かな時間を持つことで、心の平穏を得ることができ、ストレス管理に効果的であることが示されました。
瞑想はスピリチュアルなイメージがいまだに払拭されませんが、実はメンタルにいいという研究がいくつも出ているのです。
実際に呼吸に意識を向けるだけでも安らぎますよ。
【参考文献】
The philosophy of “naturalness” in the Laozi and its value for contemporary society. Frontiers of Philosophy in China. 2017-01-01.

まとめ
今回は老子と彼の思想について解説し、最新研究を用いてその有用性を証明しました。
どれだけ古い概念でも今の時代に有益な発見を与えてくれます。
AI時代、目まぐるしく回りまくる世の中につかれてしまうのはとても理解できます。
そんな時こそ一呼吸おいて、昔の思想に戻ってみるのも面白いかもしれませんね。
老子に自然体であることの大切さを教えてもらいました。
皆さんは無理をしすぎていませんか?
この世界の進歩におびえず、ただあるままに受け止めて、今とこれからの人生を考えていきましょう。