【毒親】毒親とは? どうして出来上がってしまうのか… 科学的に分析してみた

心理学

こんにちは キセキです!

今回は毒親についてです。

皆さんも一度は聞いたことがある毒親。

今回は、なぜ毒親が出来上がるのかをメインに解説していきますね。

毒親について

毒親とは?

「毒親(toxic parent)」という言葉は1989年、米国の心理学者Susan Forward(スーザン・フォワード)が著書『Toxic Parents』で初めて広く提唱しました。

以降、英語圏・日本語圏ともに臨床心理学、家族心理学の領域で用いられるようになりました。

親の言動や養育態度が子どもの発達や人生に長期的な悪影響を及ぼす場合、その親を「毒親」と呼ぶものです。

日本国内では2010年代以降、家族内虐待やアダルトチルドレン(AC)研究の文脈で急速に普及しています(例:京都大学・藤田綾子(フジタ・アヤコ)らの研究, 2022年)。

毒親というのは専門用語ではなく、造語に近いんですね。

専門的には以下のように言われます。

  • 英語圏では「toxic parent」「dysfunctional parent」「abusive parent」などが用いられます。
  • 学術論文では「有害な養育行動(toxic parenting behaviors)」「家族機能不全(family dysfunction)」や「親による心理的虐待(parental psychological abuse)」などが専門用語として使われます(Nakamura, L. M. et al., 2022, Child Abuse & Neglect)。

毒親の特徴

2023年に日本の大阪大学大学院人間科学研究科の中村美咲(ナカムラ・ミサキ)らが行った全国調査(n=2,500, 18~45歳対象)では、毒親の特徴として以下が高頻度で報告されています。(Nakamura et al., 2023, Japanese Journal of Family Psychology):

  • 過度な支配・コントロール(報告率:42.1%)
  • 過干渉・過保護(同:36.9%)
  • 親の自己中心性(同:29.8%)
  • 無関心・ネグレクト(同:21.4%)
  • 感情的・身体的虐待(同:18.7%)

このことから、毒親の特徴の半分近くは「過度な支配・コントロール」であるそうです。

毒親と言って想像するのは、確かに支配的な発言で、子供の自立を拒むような言動が多いように思いますね。

皆さんも想像できるんじゃないでしょうかね。

毒親の原因

なぜ毒親は出来上がるのか

2024年に東京大学の佐藤健介(サトウ・ケンスケ)らが行った大規模調査(n=3,000, 20~50歳, 東京都内)によると、毒親が形成される主な要因は以下の通りです(Sato et al., 2024, The Japanese Journal of Psychology):

  • 親自身が虐待・ネグレクトを経験(毒親群の67.5%が該当)
  • ストレス耐性の低さ・感情調整困難(同:40.8%)
  • 社会的孤立・経済的困難(同:31.2%)
  • 精神疾患(例:うつ病、パーソナリティ障害)(同:24.3%)

米国のジョン・C・ヤング(John C. Young)(2021年, Journal of Family Issues)も「毒親の多くは自身の未解決なトラウマや、社会的サポートの不足を背景に持つ」と指摘しています。

不思議なことに、親自身も毒親に育てられた可能性があるのです。

つまり、毒親というのは連鎖的に出来上がっていくわけなんですね。

遺伝なのか、経験なのか、それはわかりませんがね。

そして、毒親自身も心理的・社会的に困難な状況にある場合が多いのです。

精神的に追い詰められたりしていると、子供にきつく当たってしまうのもわかりますね。

毒親を育てた親の特徴

2023年に名古屋大学の山本優太(ヤマモト・ユウタ)らが行ったコホート研究(n=1,200, 3世代追跡, Yamamoto et al., 2023, Child Abuse & Neglect)によると、毒親の親(祖父母世代)には以下の特徴が顕著でした:

  • 厳格・権威主義的な育児(該当率:58.6%)
  • 感情表現の乏しさ(同:41.2%)
  • 体罰・言葉の暴力の常態化(同:35.4%)
  • 経済的困難・社会的孤立(同:29.7%)

この研究では、「親から子への虐待・支配の連鎖」が3世代で約2.6倍に増幅することが示されています。

この特徴どこかで見ませんでした?

そうです。毒親の特徴に似てますね。

毒親自身も厳しい親に育てられたんですね。

毒親に育てられた子

子ども時代の特徴

  • 低い自己肯定感(自己評価の低さ):2023年大阪大学・中村美咲(ナカムラ・ミサキ)らの全国調査(n=2,500)で、毒親体験者の76.2%が「自分に自信が持てない」と回答。
  • 不安・抑うつ傾向:同調査で毒親体験者の48.7%が「日常的に不安や気分の落ち込みを感じる」と回答。
  • 対人関係の困難友人関係の維持が難しい(同調査で36.4%)。

毒親の影響は、子供時代のメンタルに悪影響を及ぼすようです。

それが原因なのか、友人関係の維持が難しいようです。

もしくは、毒親によって行動を制限されるために、友人と遊べないということもあるかもですね。

大人になってからの特徴

  • 対人恐怖・回避的傾向:藤田綾子(フジタ・アヤコ)ら(2022年, 京都大学)の研究で、毒親体験者は成人後の「親密な関係回避」傾向が非該当者の2.1倍。
  • 慢性的な罪悪感・無力感:同研究で毒親体験者の68.5%が「自分の幸福を感じにくい」と回答。
  • 精神疾患リスクの上昇:2024年東京大学・佐藤健介(サトウ・ケンスケ)らの調査で、毒親体験者は成人後のうつ病・不安障害発症率が非該当者の約2.5倍

毒親に育てられると、長期的に心に影響があるみたいですね。

人間関係は、人生の幸福を大きく左右します。

信頼できる友達がいることで、毎日に活気がありますからね。

しかし、毒親に縛られたままだと、心理的にも追い詰められてしまうんですね。

毒親に育てられた時の対処法

毒親による弊害まとめ

毒親による弊害は、大きく3つです。

  • 精神疾患リスクの増大:うつ病・不安障害・PTSDなどの発症率が高まる(佐藤健介ら, 2024年, 東京大学)。
  • 自己否定感・慢性的な生きづらさ:幸福感の低下、自己効力感の低下。
  • 親密な対人関係の困難:恋愛・結婚・職場での人間関係に問題を抱えやすい。

では、どうすれば解消できるのでしょうか。

精神疾患リスクの増大 対策

  • ストレス記録・感情日記の活用
    藤田綾子(フジタ・アヤコ, 2022年, 京都大学)の研究では、日々のストレスや感情を紙やアプリに記録することで、気分の波やストレス要因を客観的に把握でき、うつや不安の予防につながることが示されてる
  • マインドフルネス呼吸法
    佐藤健介(サトウ・ケンスケ, 2024年, 東京大学)らは、呼吸に意識を向けるマインドフルネス瞑想が、不安症状やストレス反応の軽減に有効であると報告
  • 十分な睡眠・規則正しい生活
    生活リズムを整えることで、精神的な安定感が高まり、ストレス耐性も向上

不安への対策はこちらのブログにまとめています。

また、睡眠不足については睡眠の質を上げる必要があります。

そのためには、夜の生活を見直しましょう。

科学的に正しいナイトルーティンは、こちらのブログで紹介しています。

自己否定感・慢性的な生きづらさ 対策

  • 自己肯定感を高めるセルフアファメーション
    鏡の前で「自分には価値がある」「今日もよく頑張っている」といった肯定的な言葉を毎日自分にかける方法(Nakamura, M. et al., 2023, 大阪大学)。
  • できたことリストの作成
    1日の終わりに「できたこと」を3つ書き出す習慣をつけることで、自己効力感が高まることが実証された(藤田綾子ら, 2022年)。
  • 自分の感情・欲求を言語化する練習
    「今、私は悲しい」「本当はこうしたい」と自分の気持ちをノートに書き出すことで、自己理解が進む

これは自己効力感や自信がない人にもお勧めできる心理テクニックです。

これをしたから生きやすくなるということではありません。

大切なのは、これで高まったモチベーションを基に、行動することでさらに自己成長するのです。

短期的な効力感ではなく、長期的に成長していきましょう!

親密な対人関係の困難 対策

  • アサーティブ・コミュニケーションの練習
    自分の気持ちや希望を率直に、相手を尊重しながら伝える「アサーティブネス」訓練は、親密な人間関係の構築に有効(Yamamoto, Y. et al., 2023, 名古屋大学)。
    • 例:「私はこう感じている」「こうしてほしい」と主語を自分にして伝える練習。
  • 小さな信頼関係の積み重ね
    いきなり深い関係を築こうとせず、挨拶や短い会話など、身近な人との小さなコミュニケーションから始める(Nakamura, M. et al., 2023)。
  • 安全な人間関係のリストアップ
    自分が安心できる人や場所をリスト化し、困ったときに頼れる「セーフティネット」を可視化する

対人関係の改善は人生の幸福度に直結します。

日本人は、どうしてもコミュニケーションに奥手になってしまいますが、それも理解したうえで、少しずつ改善していきましょう。

さいごに

今回は、毒親について科学的知見を基にまとめてみました。

最近は、毒親を言い訳に使う人もいるようです。

しかし、親と自分は違います。

自分の人生は今この瞬間から変えていくことができるのです。

自分一人の力で変えることが難しくても、周りには頼れる人間がいます。

無理せず、今の自分と状況に向き合い、少しずつでいいので改善していきましょう。

それではまた、さらなるyou more lifeでお会いしましょう。

追記

有料ブログの方で「毒親扱いする人の特徴と改善方法 他」を紹介しています!

【質問箱】毒親について知りたいです|キセキ
こんにちは キセキです! 今回は毒親について聞かれたので、ちょいとまとめてみようと思います。 毒親がどうして出来上がるのか、影響を抑えるにはどうしたらいいのかは、別のブログにまとめてます。 共有しときます。 こちらのブログです。 今回の本題...
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